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リノベーションの参考になる!センスのいいおしゃれ映画


プロが教える、リノベーションでマネしたくなるおすすめ映画は?

ショコラ(2000年/アメリカ)

ショコラ

「昔々、フランスの田舎に小さな村がありました」

映画「ショコラ」(アメリカ/2000年)は、古い因習に囲まれて暮らす村人達を紹介するところから始まります。遠い町からやって来て古い空き店舗を借りた主人公ビアンヌの、自ら改装したチョコレートショップが重要な舞台。まずは大掃除、壁を塗装し、ハンドペイントで模様を描いたりしている様子を見ていると、どんなお店が出来上がるのかわくわくしてきます。

窓枠やドアなどの建具には長い時間をかけたシャビーな風合いがあり、石造りの建物との組み合わせは、テレビや雑誌で目にするパリの街並みと共通する色合いが感じられます。床のタイル、壁のくすんだブルー、チョコレート色の建具のバランスも素晴らしい作品。

色とりどりの手作りチョコレートが並べられると、誰でも一度は入ってみたくなるお店が出来上がります。白い漆喰の壁と無垢のフローリングの部屋が、いつまでも飽きの来ない大好きな住空間であることはわかっているけれど、もしもこんなイメージのワンルームがあったら、期間限定の一人暮らしも楽しいだろうなと想像させてくれます。本に囲まれた尊大な伯爵の仕事部屋ですら威圧感ではなく、好もしい部屋に感じられます。テーブルや照明に、今私たちがアンティークと呼んでいる小物がふんだんに使われているせいかもしれません。

監督のラッセ・ハルストレムは「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」など子供たちの魅力を丁寧に描いてくれるので、かわいい洋服にも目を奪われます。おとぎ話の語り口で軽快に描かれていて何度でも楽しめる映画です。

マーサの幸せレシピ(2001年/ドイツ)

マーサの幸せレシピ

後にハリウッドでリメイクが制作され、日本でも上映された「マーサの幸せレシピ」(2001年/ドイツ)ですが、断然オリジナルのドイツ版のほうがお勧めです。

舞台になるハンブルクの町は、いつも雨が上がったばかりの曇り空のように寒く暗いイメージです。みんなのあこがれるパリとは違って、映像に映し出されるのは装飾性の排除された建物。主人公マーサの一人暮らしの住いは、明るい色合いはほとんどなく彼女のファッションも含め、とてもシンプルです。余分な装飾はなくてもきちんとディスプレイされている本棚、整えられたベッドルームやソファコーナーは決して冷たい印象ではなく、小さなキッチンも料理好きな人ならもっと詳しく見せてと言いたくなるような,使い心地の良さが伝わります。

マーサが通うカウンセラーのクリニックのスタイリッシュなインテリアも素敵ですが、彼女の働くフレンチのお店は、厨房も含めカッコイイ空間です。余計なおしゃべりや説明がなく淡々と描かれるマーサのお話は、観終った後鮮やかに蘇ってきます。

西の魔女が死んだ(2008年/日本)

西の魔女が死んだ

映画「西の魔女が死んだ」(2008年/日本)の引きこもりになった中学生のまいが一ヶ月程過ごした田舎の祖母の家は、山奥のまさに日本のカントリーハウスといった趣です。

洋風のドアと和風の引き戸が混在し、クッキングストーブの横には昭和の茶箪笥が置かれていて、暖炉もあるけれど欧米のカントりーハウスとは一味違う懐かしい住空間になっています。リビングに置かれているテーブルやアームチェアは低めで、昭和の日本のイメージそのもの。ささやかな装飾が彩る窓ガラスや、小さな引き戸の窓から明るい陽射しが輝くキッチンは最も魅力的な場所になっています。

英語教師として来日し、日本人と結婚したというターシャ・チューダーのような洋服を着たイギリス人の祖母の静かな口調のおかげで、家の周りの緑豊かな景色がみずみずしく伝わってきます。

祖母を演じるサチ・パーカーは親日家の両親(母はハリウッドスターのシャーリー・マクレーン)のもとに生まれ、幼少期を日本で過ごしたせいでしょうか、自我を
表面に押し出さず受け身である佇まいや、美しい日本語がぴったりの役どころに思います。

久しぶりに日本の引き戸の暖かい魅力に触れることのできる映画です。

繕い裁つ人(2015年/日本)

繕い裁つ人

映画「繕い裁つ人」(2015年/日本)の主人公市江は、自宅で洋裁店を営んでいますが、先代である祖母の時代の顧客の洋服のお直しに生きがいを持って仕事をしています。

その自宅は古い洋館で、彼女のこだわり・仕事・生き方、彼女そのものを体現しています。窓の一部に入った小さなステンドグラス、アンティーク家具の似合う部屋、天井高がたっぷりある贅沢な平屋の建物です。イギリスの田園住宅の形式ですが、日本人が洋風文化を取り入れて作った住まいには、独特の魅力があります。現代の感覚では、室内の木部の色や壁紙の色合いが、もっと明るいといいのになと思うかもしれませんが、こちらの方が、日本の風景に馴染む温かみが感じられます。

筆者自身は、撮影に使われた川西市郷土館にある旧平賀邸にも行きました。窓というものは、少しでも広く大きく見通せるよう桟を取り払い、一枚ものの大きな窓ガラスが開発され、思う存分外の景色を楽しめるようになったと思いますが、木の枠や桟で区切られた窓から眺める景色には何か物語があり、情感のある風景が映し出されるのではという思いを強くしました。

大丸神戸店のある旧居留地周辺、海と山に囲まれた神戸の気配が感じられる映画です。

シャーロック(2010年/イギリス・テレビドラマ)

シャーロック

2011年にNHKで放映されて大評判になった現代版シャーロック・ホームズです。ロンドンのベーカー街221B、彼の下宿のインテリアも話題になりました。

イギリスのオーソドックスな間取りの住宅で、壁のほとんどが塗装ではなく壁紙でおおわれています。特にリビングの壁紙が楽しい。個性の強い絵柄は好みの分かれるところですが、壁面ごとに色柄が違うのにバランスが絶妙で、大きなヒントをもらいました。壁面の一部に使うだけでも部屋全体に大きなアクセントをつけてくれるので、例えばリビングの作り付けの本棚&収納キャビネットの本棚の背面部分にダ
マスク調の壁紙を貼ります。所々に見え隠れする絵柄がスパイスの効いた空間を演出してくれ、この提案は施主様からご好評をいただいています。

家具や照明などのインテリアにもモダンやアンティークが混在しています。すべてに使い込んだ味わいがプラスされていて、本当に魅力いっぱいの部屋になっています。間接照明を多用しているので薄暗い印象になりますが、ミステリーには相応しい住空間ですね。
2014年までにシーズン3まで作られていて、全体を通じて現代のイギリスにある式豊かな住宅から超モダンな建築まで、多彩に魅せてくれます。

個人的にはシーズン2の①、「ベルグレービアの醜聞」が一番気に入っています。シャーロックとワトソンの個性と魅力、アイリーン・アドラーの悪女ぶり、なによりドラマチックな展開は何度観てもため息がでます。もちろん、シャーロックの部屋の魅力もたっぷり楽しめます。

名探偵エルキュール・ポワロ(1989~2013年/日本)

名探偵エルキュール・ポワロ

25年という長い時間をかけ全70回制作されたデヴィッド・スーシェ主演のこのシリーズは、1930年代のアール・デコの世界の宝庫です。富裕層の住宅が描かれる際には必ずと言っていいほど、アール・デコの装飾品がふんだんに飾られています。

特筆すべきはポワロのオフィス兼自宅で、その名もホワイトヘブンマンション(名前も素敵)、建物の外観もアール・デコそのものです。
几帳面で潔癖症気味のポワロは、一部の隙もないおしゃれさんですが、そんな彼が選び抜いたであろう家具や調度品がディスプレイされた部屋は、ぜひ一度はご覧いただきたい素晴らしい魅力にあふれています。

今私達がアンティークと呼んでいるものをリアルタイムで使っている様子を見ることができるのは本当に楽しいもの。本格的なアール・デコの様式に触れるのが難しい現代では、貴重な資料になっているのではないかと思います。また、この時代のファッションも男女共に素敵ですね。他にも、執事やメイドに囲まれたイギリス貴族の広大なお屋敷、イギリス独特の田園地帯のカントリーハウス等、この時代のあらゆる文化・風俗がたっぷりと描かれています。
原作者アガサ・クリスティの描く本場イギリスで制作されているので、時代考証がしっかりしていることや、アール・デコの世界観が丁寧に描かれていることなどが、このドラマを長期間支え続けてくれたのでしょう。高慢で鼻持ちならないエルキュール・ポワロを、時に愛すべき人物として魅力たっぷりに演じたデヴィット・スーシェのポワロシリーズは、原作を知らない方にもお勧めしたい名作シリーズです。  

おとなのけんか(2011年/フランス・ドイツ・ポーランド)

おとなのけんか

面白いからぜひと勧められて何の先入観もなく観た映画ですが、話の舞台になるお宅のインテリアが素敵でまず引き込まれました。

子供同士がけんかの延長で片方が怪我をして、加害者と被害者のそれぞれの両親が子供抜きで話し合いの場を設けます。その場所になっ
た被害者のお宅が素晴らしいのです。キッチンは黒っぽい色で統一。ドア・モールディング・作り付け家具など木部に使われている色と壁の色合いのシックな取り合わせ。ソファや家具の使い込まれ落ち着きのある色合い。

妻はアートが大好きという設定で、大きなカフェテーブルの上には画集が飾られています。全体に上質で知的な住空間が見事に演出され
ていると感じました。2組の夫婦のやりとりの大部分がリビングで繰り広げられるという、まるで舞台劇を観ているような展開なので、インテリアをじっくり堪能できます。アートと正義が大好きな妻とちょっともっさりした夫、キャリアウーマン風で投資ブローカーの妻と携帯電話を手放せない弁護士の夫、4人の個性のぶつかり合い、絶妙な掛け合いで最後までくすくす笑いながら鑑賞でき、思いがけずインテリアのセンスも楽しめた映画です。 
 

ニューヨーク眺めのいい部屋売ります(2014年/アメリカ)

ニューヨーク眺めのいい部屋売ります

「アニーホール」~「恋愛適齢期」…、どの時代のダイアン・キートンも大声でわめいたり、エキセントリックに主張することのない涼やかな印象があります。「ショーシャンクの空に」~「最高の人生の見つけ方」…、モーガン・フリーマンはいつも物静かで、彼のセリフは老僧侶がつぶやくような深淵な言霊が感じられ、独特な存在だと感じていました。そんな二人が結婚40年の夫婦を演じます。

映画の舞台ブルックリンのアパートは無名の若い画家のカップルの収入でも手に届く場所だったのに、不動産価格の高騰で今や相場が100万ドルになっています。エレベーターのない40年以上住んだ古いアパートが1億円以上の価格になるなんてかつての日本のバブルを思い出します。古い倉庫や工場ばかりで夜の一人歩きが危険なほど治安の悪い地域が、開発が進み、おしゃれなお店や人が集まる人気のエリアに変貌
するということは珍しくありませんが、落差の大きさにちょっと呆れてしまいました。

さて主人公の二人が暮らす5階の部屋は、家庭菜園を楽しめる屋上があり、ブルックリンを一望できる素敵な住まいで、愛情込めて暮らしてきた佇まいがしのばれます。でもエレベーターがないため、5階まで階段の上り下りが大変な年齢になっていました。そこでエレベーター付きの部屋に住み替えることになり、お話が動き出します。

姪の不動産ブローカーに任せて住みながらオープンハウスを開催することになりますが、100万ドル(日本円で約1億2千万くらい?)ともなると内覧会には、冷やかしを含め様々な事情を抱えた人々が訪れます。

物件を購入したい人が希望価格でオファーをだし、購入希望者が複数いると値段は吊り上がり、オークションで入札しているような状態
になります。競り勝つために売り主に対して自分の思いを伝えるメッセージを送るなど、そんなやりとりや駆け引きが新鮮でおもしろく、ニューヨークの不動産事情を垣間見るようで楽しめます。
通常は一番高額「オファー」に決まるのでしょうが、住まいに対する愛着が強い売り主には、メッセージで訴えることも多少は影響があるのかもしれません。大切に住んでくれる人に受け継いでほしいという気持ちは、お金だけで測れない人間らしさですから。

黒人と白人の結婚に対する反対や、子供に恵まれなかった苦悩等々…。二人の出会いから40年の歩みは合間に短いエピソードで語られるだけです。住み替えを決意してから内覧会までの、ほんの数日の出来事を描いた小品と呼ばれる映画かもしれません。もし20代だったら…すっと通り過ぎてしまう映画かもしれません。今だからしみじみ感動するのかも…。

元々売却に乗り気でなかった夫の、「いい人生だったじゃないか」。…このせりふが胸に染みて久しぶりにパンフレットを買いました。ずっと覚えていたいセリフです。 
 



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